ろうけつ染め

ろうけつ染の魅力

ろうけつ染は、溶かしたロウを布に塗り、ロウを塗っていない部分にだけ染料をしみ込ませて染めていく、という至ってシンプルな染色法です。日本のろうけつ染では、ロウを塗る道具も、子供の頃に誰でも習ったお習字用の筆とほぼ同じです。ろうけつ染の魅力は、何と言っても、フリーハンドで描いた自由で大胆なタッチや手描きの温かさではないでしょうか。まるで絵画のような表現も可能ですが、制作法は大分違います。色の付け方が絵画とは真逆なのです。絵画はどんどん上に色を重ねていくのに対し、ロウ染めでは、残したい色にロウをぬっていくのです。ですから、絵を描く時のように、情熱に駆られて絵筆を走らせる、というわけにはいきません。ある程度は出来上がりを想定して、計画的に作業をしなければならないのです。もどかしいと思うこともありますが、いろいろ手順を考えたりするのも「染め」の楽しみの一つかも知れません。

ろうけつ染の技法

ろうけつ染はとてもシンプルな染色法なので、特別な技法などはないのですが、使うロウにもいろいろ種類があるので、それをご紹介します。昔からロウ染に使われているロウは「木蝋(モクロウ)」というハゼノキ(樹木)から作られています。和ろうそくなどにも使われていますね。でも今は、石油系のワックスやパラフィンを使う場合が多いです。石油系のロウにはいろいろな種類があって、粘りの強いもの、割れやすいものなど目的に合ったものをブレンドしたりして使います。粘りの強いものは防染力が高いので、他の色を絶対にしみ込ませたくない場合に使います。割れやすいものは、ろうけつ染の特徴の一つである「ひび」を入れたい場合に使います。この「ひび」は結構くせもの(!)でして、入れたくない箇所には、いつの間にかひびが入り、入れたい箇所にはなかなか上手く入ってくれなくて、いつも苦労するところです。

ロウの処理について

もう一つ、ろうけつ染めで気を付けなければいけないのは、染色後のロウの処理です。布からロウを取り除くやり方は、熱湯で布を煮て、ロウを湯に溶かす方法と、溶剤でロウを溶かす方法があります。熱湯で煮る方法だと染料も多少取れてしまうので、色が薄くなってしまう場合があります。この方法での脱ロウがしやすい専用のロウ(ソーピングワックス)もあります。溶剤で溶かす方法は、石油系溶剤バークレンを使います。バークレンは、染色材料店で購入できますが、使用後の処理には注意が必要です。引火性は無いのですが、ガソリンに近い溶剤なので、自治体のごみ処理担当に問い合わせるとか、専門の処理業者に依頼するしかありません。家庭で楽しむなら、ソーピングワックスを使う方が簡単ですね。

ろうけつ染_花

ろうけつ染「花」

ろうけつ染用ポット

ロウを溶かす為の電気ポット

ろうけつ染_ゼブラ

ひびを使った表現

ろうけつ染_ひびの部分

ひびを使った表現

ろうけつ染の手順

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