草木染め

草木染めは自然の恵み

草木染めを始めたら、改めて自然の力はすごいなあ、としみじみ思うようになりました。道端に生えている雑草にももちろん色素はあるので、中にはとてもきれいな色の染料になるものもあります。ハルジオンでは淡い黄色が染まりますし、月見草できれいなグレーが染まったりします。早春に顔を出すフキノトウやつくしでも染まるんです。草木染めの色味は一般的に少しくすみのある色ですが、それは植物の色素以外の成分が含まれている影響だと思います。でも、その複雑な色味こそが草木染めの魅力なのでしょう。草木染めの色を見ていると何だか癒される気分になるのは、それが自然の持つ生命の色だからなのかも知れませんね。草木で染め物を始めた時に、植物染料では動物性繊維の方が良く染まると知って、少し驚きました。何となく植物には植物の方が相性が良い、みたいな勝手な思い込みをしていたようです。実は、動物性繊維(絹と羊毛など)を顕微鏡で見ると小さなトゲのようなものがあります。このトゲに色素が定着して色が付くのだそうです。植物性繊維(綿など)にはトゲが無いのであまり良く色素が付かないのです。ただし、藍染めは特別で、絹も綿もよく染まりますが、綿を染めることに適しています。何故かというと、藍はアルカリで発酵させて染液を作るので、アルカリにも強い綿の方が合っているからです。草木染めの手順としては下記の通りです。

  1. 染料の草を粗く刻んで水を加えて鍋などでじっくり(10分~20分位)煮ます。
  2. それを手ぬぐいなど漉し布でで漉します。
  3. 漉した染液を鍋に戻して染めたい布を入れて煮ます。
  4. 媒染剤に入れて色素を定着させます。
  5. 濃い色を染めたいときは、3.4.を繰り返します。

染料を作るため野原の草を摘んできて、大鍋に入れてぐつぐつ煮詰めていると、何だか魔女にでもなった気分になれますよ。

媒染剤のこと

草木染めで色を定着させるのには、媒染剤を使います。「染まる」というのは、分子レベルで色素が繊維と結びつくことで、そのためには金属が介在して化学反応を起こす必要があるのです。なんて書いてても、実は私は、学生の頃から「化学」と聞いただけでめまいを起こしそうになるほどでして、何の事だか正確にはわかりません。ただただ、染色というのも化学の仕組みでできているのだなあ、と思うのみです。昔の人達は、このような化学の仕組みを知らなくても、経験から木灰や泥などで金属成分の多く含まれているものを見分けて素晴らしい染めを作り上げてきたのですから、本当にすごいですね。
媒染には、錫、アルミ、銅、チタン、鉄が使われます。染色材料店で購入できますが、手作り出来るものもあるので、ご紹介します。

  材料 作り方 使い方
みょうばん ミョウバン 100g
お湯

ミョウバンを少量のお湯で完全に溶かし、 水を足して2Lにする。

アルミ媒染。布の重さの8~10%を使います。
酢酸銅 銅線など 50g
お湯
99%酢酸 30cc
材料をビンに入れて2週間位寝かせる。液がブルーになったら完成。 布の重さの3%位を目安に使います。
木酢酸鉄 さびた鉄釘など 100g
お湯
酢 100g
材料をビンに入れて1週間位寝かす。液を布で漉して完成。 布の重さの3%位を目安に使います。

草木染めとエコ

染色後の媒染剤は金属を含んでいるので、そのまま流しに捨てたりすると、環境汚染の原因になってしまうかも知れません。染色材料店で廃液処理剤が売られているのできちんと処理をしてから捨てるようにしましょう。自然の恩恵で素敵な色を楽しんでいるのですから、自然環境にも気を配りたいと思います。

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草木染めの手順

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